包括的機能評価によって、
より患者さんに寄り添う診断を

アボットはトータルフィジオロジーを
支援します

CFR – Coronary Flow Reserve(冠血流予備能)
IMR – Index of Microcirculatory Resistance(微小循環抵抗指数)

持続性狭心症の患者さんで、血管造影上、非閉塞性冠動脈疾患 (INOCA) の場合は、冠微小循環障害(CMD)の可能性があります。しかし、これらの患者さんに対する十分な診断法は確立されていませんでした。 心臓カテーテル検査を受ける安定狭心症の患者さんのうち、大多数 (59%) は、胸痛症状を持っているにもかかわらず、下記に示されるように、血管造影上において、有意な閉塞性狭窄が認められません1, 2

CMD の診断において、冠血流予備能(CFR)と微小循環抵抗指数(IMR)の 2 つの生理学的指標が診断に寄与します2

NCDR Registry CAD categories
CFRとIMRは、PressureWire™ X ガイドワイヤーの近位部と遠位部で感知した温度情報をもとに計算します。これらのセンサーを用いた熱希釈法により、CFRやIMRの測定値を取得できます。
 
PressureWire™ X 圧・温度センサー
PressureWire™ X 圧センサー/温度センサー

熱希釈法を用いたCFRおよびIMRの測定

術者が室温の生食を冠動脈に注入すると、PressureWire™ X ガイドワイヤーは近位部および遠位部を通過する生食の温度変化を検出します。冠動脈の血流は、近位部および遠位部で感知された生食の温度変化の時間に基づいて推定されます。

 

生食が近位部から遠位部を通過するのにかかる時間(秒)は、平均通過時間(Tmn)として記録されます。

 

PressureWire™ X  平均通過時間

CFRおよびIMRの測定

CFRとIMRの測定は、数分程度で可能です。

PressureWire™ X resting hyperemia

記録後、測定値が表示され、測定結果を確認することが可能です。

CFR=安静時血流量と最大充血時血流量の比=冠血流予備能

IMR=最大充血時における微小循環系の抵抗指数=微小循環抵抗指数

 

CoroFlow CFR, IMR

冠微小循環障害

非閉塞性冠動脈疾患(INOCA)におけるCFRおよびIMRのカットオフ値(CorMicA試験より)2

IMR / CFR カットオフ値 CMD

緑色が正常値、赤色が異常値
INOCA症例におけるカットオフ値
INOCA:Ischemia with non obstructive coronary artery

CMDの診断方法

CATH CMDの提唱

CMD診断をカテーテル室で実施する場合、各手順における注意点として、CATH CMDというコンセプトがTCT2022で提唱されました。

CATH-CMD

診断に使用するデバイスの詳細はこちらをご参照ください。

なぜ冠微小循環障害を診断/治療するのでしょう?

虚血を伴うINOCA患者さんは、重大な心血管有害事象(MACE)のリスクが高くなります4。このような症状のある患者さんは、適切な治療を受けるまで、カテーテル検査や入院などを繰り返し、多額の医療費を消費してしまうリスクがあります5-7

 MACE + 医療費

CorMicA試験が明らかにしたように、冠微小循環障害が的確に診断され、適切な治療を受けることにより、患者さんは症状やQOL改善などが期待されます3

 

27% 狭心症状の改善※3,8

18% 生活の質の向上3,8

※ シアトル狭心症質問票のスコアによる評価

 シアトル狭心症質問票のスコアによる評価

CFRおよびIMRに関するガイドライン

2023年JCS/CVIT/JCC ガイドライン フォーカスアップデート版 冠攣縮性狭心症と冠微小循環障害の診断と治療において、ガイドワイヤーを用いたCMD診断は推奨クラスⅡa,エビデンスレベルBを獲得しています。

 

JCS/CVIT/JCC ガイドライン フォーカスアップデート版
冠攣縮性狭心症と冠微小循環障害の診断と治療
クラスa レベルb
狭心症を有し、心筋虚血が示されているが心外膜冠動脈に有意狭窄を認めない症例において、ガイドワイヤーを用いたCFRやIMRの評価を考慮する。IIaB

 

欧米でも、CMDの適切な評価、診断および治療は、心外膜狭窄が有意ではない症候性患者に対して、ガイドワイヤーベースのアプローチによりCFRおよびIMRを測定することを推奨しています。

Recommendations by ESC ガイドライン クラスa レベルb

GuidewireベースのCFRおよび/または微小血管抵抗指数は、持続的な症状のある患者では考慮されるべきである。

ただし、造影上正常である、またはiwFR/FFRが担保された中程度の狭窄を持つ冠動脈が考慮されるべきである。

IIaB

 

a:推薦クラス b:エビデンスレベル
CFR =冠血流予備能;iwFR =瞬時血流予備量比;FFR =心筋血流予備量比

 

Recommendations for Patients with INOCA クラスa レベルb

持続的な胸痛や非閉塞性冠動脈疾患(INOCA)、および画像診断で中等度の心筋虚血が認められる患者において、CMD診断を至適化し、リスクを層別化するために、侵襲的な冠動脈機能検査を検討することは妥当である。

IIaB-NR

 

PressureWire™ X ガイドワイヤーは、圧センサーと温度センサーを使用して、心外膜狭窄(FFR、RFR)と冠微小循環障害(CFR、IMR)の両方の指標をワイヤレスで測定することが可能です。


References

  1. Patel MR , Peterson ED , Dai D , et al. Low diagnostic yield of elective coronary angiography. N Engl J Med. 2010;362:886-895. doi:10.1056/NEJMoa0907272.
  2. Ford TJ, Berry C. How to diagnose and manage angina without obstructive coronary artery disease: lessons from the British Heart Foundation CorMicA Trial. Interv Cardiol Rev. 2019;14(2):76-82.
  3. Ford TJ, Stanley B, Sidik N, et al. 1-year outcomes of angina management guided by invasive coronary function testing (CorMicA). J Am Coll Cardiol Intv. 2020;13:33-45.
  4. Taqueti VR, Di Carli MF. Coronary microvascular disease pathogenic mechanisms and therapeutic options: JACC state-of-the-art review. J Am Coll Cardiol. 2018;72:2625–2641. doi:10.1016/j.jacc.2018.09.042.
  5. Rahman H, Corcoran D, Rahman M, et al. Diagnosis of patients with angina and non-obstructive coronary disease in the catheter laboratory. Heart. 2019;105:1536-1542.
  6. Lee B, Lim H, Fearon WF, et al. Invasive evaluation of patients with angina in the absence of obstructive coronary artery disease. Circulation. 2015;131:1054–1060.
  7. Reriani M, Flammer AJ, Duhé J, et al. Coronary endothelial function testing may improve long-term quality of life in subjects with microvascular coronary endothelial dysfunction. Open Heart. 2019;6:e000870. doi: 10.1136/openhrt-2018-000870.
  8. Ford TJ, Stanley B, Good R, et al. Stratified medical therapy using invasive coronary function testing in angina: the CorMicA trial. J Am Coll Cardiol. 2018;72:2841-2855.
  9. Jespersen L, Hvelplund A, Abildstrøm SZ, et al. Stable angina pectoris with no obstructive coronary artery disease is associated with increased risks of major adverse cardiovascular events. Eur Heart J. 2012;33:734-744. doi:10.1093/eurheartj/ehr331.
  10. Knuuti J, Wijns W, Saraste A, et al. 2019 ESC Guidelines for the diagnosis and management of chronic coronary syndromes: the Task Force for the diagnosis and management of chronic coronary syndromes of the European Society of Cardiology (ESC). Eur Heart J. 2020;41(3);407-477. doi: 10.1093/eurheartj/ehz425.
  11. Gulati, M., et al. 2021 AHA/ACC/ASE/CHEST/SAEM/SCCT/SCMR Guideline for the Evaluation and Diagnosis of Chest Pain: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Joint Committee on Clinical Practice Guidelines. Circulation 2021;144e368-e454.

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